朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第101回2017/4/14

 俊介は、花井半弥の名で初舞台も踏んでいる。(67回)喜久雄も、芸名をもらい舞台に立つようになっていた。しかも、俊介と同等の役柄のようだ。いかに、地方公演と言いながら喜久雄にとっては、大抜擢だと思う。
 さらに、俊介に水をぶっかけるなんて、喜久雄の方が舞台への心構えができている。

 喜久雄が主役の一人として舞台に立っていること。俊介と喜久雄が、役者として同等の扱いを受け、二人ともそれに慣れていること。二人は、一座の人気役者になっていること。俊介は、遊びの方も達者なこと。
 そういうことが、予想できる。