朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第102回2017/4/15

 さて、遅ればせながら、慌ただしく始まりましたこの第五章、成功を夢見た徳次が北海道へ旅立ちました前章から、すでに四年近くの月日が流れております。

 物語の時系列を整理しておく。

昭和39(1964)年
元旦。 喜久雄と徳次は、新年会の余興で「積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」を踊る。その踊りを花井半二郎が観る。立花権五郎は、新年会への殴り込みで銃弾を二発受けて、三日後に死ぬ。

昭和40(1965)年
1月末。喜久雄は、学校に講話に来た宮地を襲うが、失敗する。
その後、喜久雄と徳次は、大阪の花井半二郎の家へ。更に、数か月後、春江が大阪へ。

昭和41年(1966)年
喜久雄は、半二郎に連れられて京都へ。京都で、六代目小野川万菊の演目を観る。また、舞妓市駒と出会う。
徳次は、儲け話があるからと、喜久雄に別れを告げ、弁天と共に北海道へ行く。

昭和42(1967)年
喜久雄(17才)は、芸名花井東一郎として初舞台。

昭和45(1970)年
4月 花井半二郎一座の四国巡業で、喜久雄と俊介が「二人道成寺」の白拍子を踊る。 ※大阪万博開催が1970年3月から。