朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第129回2017/5/13

 驚いた!
 ここまで、役者として適性があったとは。
 喜久雄と俊介の「二人道成寺」は、歌舞伎の舞台、いわば日の当たる場所でのスター誕生劇だった。それに対して、徳次の主演映画「夏の墓場」は、いわば日陰の場所でのスター誕生劇だ。
 弁天は、この映画に出なかったのか?
 
 今の徳次が、歌舞伎の大部屋にいるのだから、この映画以降は映画俳優としてどんどん売れることはなかったのであろう。