朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第136回2017/5/20

 喜久雄と俊介の人気が出てからの生活が、今ひとつ分からない。俊介の方は、昼間は舞台と取材で忙しく、夜は夜で遊んでいる様子が描かれていた。喜久雄は、俊介と一緒に遊び歩いている描写がない。むしろ、徳次と一緒にいた。いずれにしても、二人とも、ファンや御贔屓筋からちやほやもされているだろうと思う。
 それでいながら、今回を読むと、半二郎の邸での生活は依然とあまり変わっていないようだ。カレーライスの件は若手役者そのものだ。
 歌舞伎界のスターと言っても、まだ歌舞伎以外での知名度はそれほどでもないのであろうか。

 俊介と幸子の会話と動作、話題の深刻さと日常の描写の織り交ぜが絶妙だ。