朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・内巻敦子画『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第19回2017/5/19 第4話 眼鏡の町の漂着③

あらすじ
 誠一は、倉敷FCのディフェンダーの野上を観るために、スタジアムに来ていた。携帯で倉敷のスターティングメンバーを確かめようとしたが、バッテリー切れなので、シャトルバスで偶然隣に座った女性に携帯でスタメンを見せてくれないかと頼む。その見知らぬ眼鏡の女性は、快く誠一の頼みに応じてくれる。
 誠一は十四歳の時から、野上を頼もしい選手だと感じていた。そのころの野上選手は、一部リーグのヴィオラ西部東京に所属していた。そのヴィオラ西部は、十七年前に解散した。誠一にとっては、ヴィオラ西部の解散は大きな出来事だった。

感想
 小中学生の時に好きになったことを、その後も途切れることなく続けた経験がない。小中学生の頃に好きだったことは、その後もずうっと好きだが、たいていは興味関心に中断があったり、中断の後の復活があったりする。
 スター選手とはいえないサッカー選手を二十年も応援し続けることや、既に解散したサッカーチームのことをいつまでも忘れないという嗜好は、いわゆるオタクとされる傾向なのかもしれない。
 誠一が、野上を応援し続け、解散したクラブを忘れられないのには何か原因や理由があるのだろうか。