朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第159回2017/6/19

 喜久雄が突拍子もない生き方をする主人公であることは、もう十分にわかっていた。それにしても、昭和のこの時代を生きる男しては、いくら人気が出た歌舞伎役者としても、この女性関係には驚かされる。 
 女遊びが盛ん、なんていう生半可なもんじゃない。春江も中学生の喜久雄から離れられなかった。市駒も人気が出る前の喜久雄を一目で生涯の男と決めた。今は春江とは続いていないようだが、市駒がいながら女優の赤城洋子ともいい仲だ。もてるというか、とにかく魅力がある男なんだろう。

 映画スターとか人気役者の女性関係はこういうもんだと、他人事に考えてきたが、喜久雄については、どうしてそんなに好かれるのか、またたくさんの女性にとことん好かれることが、本人にどんな影響を与えるのか、知りたくなってきた。