朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第169回2017/6/23

 今日の挿絵が、幸子の内面を見事に表現している。いくら言っても、半二郎は黙して語らずだし、女将の立場では、愚痴を言って回るわけにはいかないだろう。その苛立ちが溜まりに溜まってしまったというところだ。
 また、喜久雄は、そういう本音を受け止めてくれるという印象を与える人柄なのだと思う。

 ただし、喜久雄が襲名を辞退しても、半二郎がいつ舞台に立てなくなるかもしれない今は、本質的な解決にはならないと思う。