朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第184回2017/7/8

 物語が進展する兆しが感じられる。
①一度登場した漫才コンビが再び登場し、このコンビは今はテレビでの人気者になっていた。
②梅木は大阪のテレビ局の社長になっている。
③喜久雄は、今のままではいい役が回ってくることはない。
 これらから、喜久雄に、歌舞伎や映画とは違うテレビという活動の場が与えられるのではないか。

 喜久雄をよく知っていて、気軽に肩を叩ける人物というと何人か思いつく。
 赤城洋子のマンションでのマージャン仲間の嵐風関。沢田西洋のそばにいそうな弁天。あるいは、一度だけ登場した三友の竹野。いずれにしても、八方塞がりの喜久雄にとって鍵になる人物ではないかと思う。