朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・内巻敦子画『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第24回2017/6/23 第5話 篠村兄弟の恩寵②

あらすじ
 靖(兄)と昭仁(弟)の兄弟は、十八年前に父を亡くし、九年前に母を亡くしていた。兄弟の年の差は八つだった。
 母を亡くした時には、靖は十七歳だが、昭仁はまだ九歳だった。靖は、十七歳なりに弟を何とかしないといけないと決意した。できるだけ傍にいてやるとか、話しかけてやるとか、食事や洗濯などの世話をしてやるぐらいのことだったが、それをやった。
 靖と一緒に食事に行くようになった嶺田さんも、小学四年の時から母一人子一人で育ってきていた。そのせいもあって、高校生の弟のことを心配する靖の気持ちを分かると言ってくれた。
 靖は、嶺田さんが一緒に行きたがっているのに、二部のチームの最終節に嶺田さんを連れていくことをためらっている。
 弟は伊勢志摩の試合に行きそうなので、靖は奈良FCの最終節に一人で行くことになりそうだ。

感想
 靖には、二つのわだかまりがあるように思える。
 八つ下の弟を不憫に思う気持ちとその弟のことを心配してしまうこと。
 二部のしかも強くないチームに入れあげているということを引け目に感じていること。
 この二つは、心配や引け目に感じるようなことではないと思うが、そこに靖の優しさや他人を思いやる気持ちが表れていると感じる。