朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・内巻敦子画『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第25回2017/6/30 第五話 篠村兄弟の恩寵③

あらすじ
 友達とも遊ばず、口もきかなくなっていた弟昭仁と奈良FCの試合を観に行くようになって、昭仁は生気を取り戻した。特に、奈良FCの窓井を兄弟揃って好きになった。窓井選手も、昭仁がサインを求めた時に声をかけてくれた。そんなこともあって、昭仁は窓井をますます応援するようになった。お
 靖には、窓井が自分たち兄弟に遣わされた存在のようにさえ思えた。
 その窓井が奈良FCから伊勢志摩ユナイテッドへ移籍し、昭仁は伊勢志摩ユナイテッドを応援するようになった。靖は、窓井がいなくても奈良FCのサポーターを止める気にはなれなかった。
 そんな靖に、京都の工場への転勤の話がきた。

感想
 好きになった選手のプレイだけでなく、普段の言動にも励まされることがある。きっと、自分とその選手を重ね合わせるのだろう。
 自分は、その選手のようなプレイはできなくても、その言動に表れたものでは共通の部分があると感じて、自分の中に好きな部分を見つけることが可能なのだと思う。