朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第235回2017/8/29

 穏やかで気持ちのよい三人の会話だ。
 三人を取り巻く客観的な条件からは、先の明るさは見えてこない。だが、互いを思いやる者同士がいて、互いに心の内を素直に言葉にしている。
 幸福感とは、夢が叶った時や願っていた条件が満たされた時だけでなく、こういう場合にこそ持てるものだと思う。