朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第246回2017/9/9

 私と私が招待した客のためだけに、三日間歌舞伎公演をしてくれれば、出演料として借金の額を全部払う。私のためだけに、毎月一時間程度の舞を舞ってくれれば、月々のお弟子や使用人に払う額を毎月払う。だから、喜久雄さんは金のことを考えずに、芸だけに精進なさい。
 ‥‥フィクションの世界はいいなあ。