この番組の最後、佐渡アナウンサーは次のような質問をいたします。


「この十年、何を考えていたか?」と。


 に応えて俊介は、「なんで自分は丹波屋の跡取りに生まれたのかと、そればかり考えていた」と答えたのでございます。

 
「跡取り」という言葉は、平成の今は価値のあるものに感じられない。
 昭和の戦後、庶民の生活で大きく変化したものに、「跡取り」がある。遺産相続の法律が庶民の間にも定着して、親の遺したものを長子が跡取りすることが不可能になった。
 だが、歌舞伎役者の世界や、一部の職種では、それが今も残っている。「跡取り」という制度と考え方を過去に戻すことは不可能だが、動産や不動産だけが「跡取り」の対象ではないことを考えさせられる。

 80、90歳まで歌舞伎ができたらいいなあと思います。
 「人間国宝」と、宝みたいな言い方ですが、先人から教わってきたことを次の代に伝え、育てなさいということですね。

(朝日新聞記事「語る 人生の贈り物 歌舞伎俳優 中村 吉右衛門」2017/7/28)※中村吉右衛門は、2011年に歌舞伎立ち役で人間国宝に認定。