朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・内巻敦子画『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第32回2017/8/25 第7話 権現様の弟、旅に出る①

あらすじ
 盛岡の支社にいる青木壮介は、東京の本社に戻る塚越君の送別会の幹事をしている。この送別会の翌々日に、壮介は休みを取って、姫路のサッカースタジアムに行くことになっている。
 姫路では、サッカースタジアムで神楽をやってほしいと依頼があり、幼なじみの司朗に誘われて壮介も神楽を舞うことになっている。
 壮介の祖父は、遠野に伝わっている神楽の権現舞が得意だった。そのつながりもあり、壮介は小さい頃、司朗と一緒に神楽をやっていた。大学に行く頃には、神楽もやめていたし、東京で就職して故郷の遠野とは縁が薄くなっていた。
 しかし、東日本大震災で状況が変わり、壮介は異動願いを出して、岩手に戻っていた。盛岡に戻ってからは、週末は母親の実家のある遠野に帰るので、司朗など昔の仲間ともつるむようになり、神楽の団体とも関わるようになる。
 遠野の地元チーム遠野FCと姫路FCが対戦する折りに、遠野の神楽の団体にイベントで神楽を舞ってほしいとの依頼が来たのだった。壮介は、遠野FCに興味はないし、神楽もしばらく舞ったことがなかった。だが、主たる舞い手が急に行けなくなったこともあって、壮介に話が回ってきていた。

感想
 
今回の第7話は、最近よく取り上げられる問題が設定されている。震災後に人口が減少する地元をどうするかということ。若い後継者不足で、地方の伝承文化が消滅しそうなこと。それに、東京本社から一時的に転勤して来る社員と、地方支社に長くいる社員の人間関係のこと。
 主人公の壮介は、震災で被害を受けた地元に戻り、地方支社に腰を据えている。そして、子どものころやっていた神楽にも関わりを持つようになった。
 壮介にとって、仕事でもプライベートでも、難しいことを引き受けているように思えるが、どうやっていくのだろうか。