朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第274回2017/10/8

 喜久雄は、冷静だ。
 外のクラクションの音も計算づくだ。

 吾妻千五郎は、喜久雄の狙いをすぐに察した。
 だが、今となってはもう対抗手段の打ちようがないことも理解している。