国宝 あらすじ 251~275回 第十一章 悪の華

 春江と一豊は、俊介の実家で幸子や使用人たちと生活を始める。幸子の所には、相変わらずに新宗教の面々が我が物顔で出入りをしている。春江は、幸子の孫かわいさを上手に使って、この新宗教の面々を屋敷から追い出してしまう。
 すっかり春江の味方となったお勢の問いに、春江が答える。俊介は、「本物の役者になりたいねん」と言って、春江と共に姿を隠したと。
 幸子は、舞台復帰が決まった俊介のために、大阪の屋敷を引き払って東京に出ることと、春江を丹波屋の女将に育て上げることを決心する。春江は、丹波屋の東京進出の折りに、喜久雄に長い手紙を書く。喜久雄からは、大阪の屋敷を三友に返すことの承諾と、借金を俊介に移譲することに応じること、丹波屋へは感謝しかない、という短い文面の返信があった。
 俊介の復活劇を画策している竹野は、喜久雄に隠し子がいるというスクープを雑誌に売り込む。このスキャンダルは、世間の注目を浴び、喜久雄に悪者のイメージがつく。
 一方、俊介は春江と一豊と一緒にテレビのインタビュー番組に出演して、全国の視聴者に好感を抱かせる。
 俊介の復活の舞台は、世間の注目の内に幕を開ける。劇評では、俊介・半弥の芸は高く評価される。だが、役柄の解釈には疑問があるとされる。俊介自身は、この劇評を読み、褒められたとは言えないと言う。

 劇場からまだ俊介が戻らぬ家に、松野という男が訪ねて来る。

 すっかり悪者のイメージが定着した喜久雄に、相変わらずいい役は回って来ず、ますます窮地に陥っている。その喜久雄は、江戸歌舞伎の吾妻千五郎の娘の彰子と同棲する仲になっている。
 喜久雄は、彰子が婚約中だということを知りながら、千五郎の後ろ盾欲しさに彰子を騙していた。
 その喜久雄が、彰子との結婚を許してほしいと、千五郎の所に行く。千五郎は、喜久雄の策略を見抜き、激しく怒り、絶対に結婚を許さないと怒鳴りつけた。