朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第283回2017/10/18

 小野川万菊の今までの言動
①喜久雄と初対面の時に、その美しい顔が邪魔になると助言した。
②梅木社長が喜久雄の後ろ盾を依頼した時には、断った。
③見世物小屋で俊介の芸を観た時には、俊介の歌舞伎への憎しみを見抜いた。
④俊介復帰の後ろ盾になった。ただし、万菊は俊介を復帰させ引き立てているようで、『娘道成寺』では、自分の芸を目立たたせるために俊介と共演したともとれる。

 「痩せ蛙」は、喜久雄のことであろう。そして、「痩せ蛙」の喜久雄に、先に稽古をつけている。喜久雄にも万菊が稽古をつけることを、俊介は知らなかったのではないか。そうだとすると、これはかなりのショックを俊介に与えるはずだ。