朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第284回2017/10/19

 万菊は、喜久雄と俊介をとことん競わせ、二人ともに辛い思いをたっぷりと味わわせると思う。
 万菊は、俊介のことを歌舞伎界の大切な大切な後継者と思っているだろう。そして、喜久雄にはその美しさを超える芸を身に付けさせたいと思っているだろう。
 そう思えば、思うほどどちらかが潰れてもよいくらいの過酷な稽古をつけると思う。それは、白虎が二人に対してやったことでもある。