朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・内巻敦子画『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第36回 第7話 権現様の弟、旅に出る 2017/9/22

あらすじ
 「権現様の弟」のことは、少し有名になってくる。遠野FCの客席にいる獅子舞に頭を噛んでもらうと、いいことがあると話題になっていた。
 本社から来ている柳本さんが、壮介が中にいるとは知らずに、遠野FCを応援している獅子舞のことを壮介に話す。また、同じく本社から来ていて何かと壮介につらく当たる西島さんのことを、後輩いじめしかできない人と非難する。
 仕事に戻ると、西島さんが、壮介をバカにするように遠野FCの悪口を言って来る。壮介は、珍しくはっきりとそれに反論した。
 
 壮介が好意を持ち始めている柳本さんが事故で骨折をした。

感想
 
「権現様の弟」のことが話題になり出した。サッカーの試合に獅子舞のかしらは珍しいに違いない。また、頭を噛まれるといいことがあるという噂がネットのニュースになるというのもおもしろい。
 昭和の頃、祭りの時などの獅子舞は、全国的に珍しくはなかった。そして、頭を噛んでもらうと厄払いになるというのも広く知られていたことだ。そういう風習が廃れ、また復活すると新しいものに感じられるのだろう。
 ゆるキャラやマスコット全盛だが、中に人がいることを忘れている。子どもはいざ知らず、大人なら中にいる人のことも意識すべきと感じた。
 「権現様の弟」がもっと有名になれば、壮介は自分が中にいることを隠し通せなくなるだろう。その時に、壮介は自分の立場と考えをもっとはっきりとさせなければならない。