朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第290回2017/10/25 

 発見された俊介と春江がどうやって暮らしていたか、明らかになるのを楽しみしていたのが、9月1日第238回感想だから、ずいぶんと待たされた思いだ。身を隠している間の二人の物語は、予想の一部は当たっていた。ここから、旅回りの一座で舞台に上がるまでには、まだ何かがあるのだろう。松野という男も登場しそうだ。
 そして、今になって、このことが語られるのは、理由があるに違いない。それは、歌舞伎と新派で人気を争っている今の喜久雄と俊介の今後に、これから語られる出奔中の二人の物語が、大きな影響を与えることになるのだろう。