朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・内巻敦子画『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第37回 第7話 権現様の弟、旅に出る⑥ 2017/9/29

あらすじ
 柳本さんが事故で入院したので、もう一年ここにいることになるのか、壮介は気になっている。壮介は、入院中の柳本さんを職場のみんなと見舞いに行く。柳本さんは、壮介に遠野のスタジアムに行けなくなったことが残念だと話す。
 最終節で、壮介たちは、遠野のスタジアムで神楽をやることになる。壮介たちが、地元で神楽を舞うのは初めてだった。神楽が終わり、今度は頭を噛んでくれというスタジアムを訪れた人の要請に応えることになる。壮介は、自宅から持って来た権現様の弟をかぶり、多くの人々の頭を噛む。その人々の中には、開幕節で頭を噛んであげた娘と父親の二人連れがいた。

感想
 柳本さんにここに残ってほしいという壮介の気持ちが、描かれていて、いかにもこの主人公に似つかわしい。神楽への参加の仕方にしても、柳本さんへの好意にしても強引な所がない。
 自分で買った獅子頭、権現様の弟が、幸運を呼ぶと話題になってもそのことを、壮介は控えめにとらえている。
 おとなしいとか、気弱というのではなく、気持ちの持ち方が滑らかなのであろう。私の世代の独身男性にはこういう感じの人は見かけなかった。