朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・内巻敦子画『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第38回 第7話 権現様の弟、旅に出る⑦ 2017/10/6

あらすじ
 壮介が、姫路のスタジアムで頭を噛んであげた娘さんの父親が話しかけてくる。父親は、娘は頭を噛んでもらってから元気になった、と言う。
 最終節の試合が始まる。壮介と司朗は、先ほどの親子の隣の席へ座る。権現様の弟をかぶったままで、応援をする壮介に、娘さんが「なんで中に入ってるの?」と聞く。壮介は、最初は職場の人にサッカー見てるのばれたくなかったからなんだけど、最近はただの趣味、と答える。

感想
 成り行きで、サッカースタジアムで神楽の舞をする。
 その後、何度かイベントの神楽の舞をした壮介は、酔っていた勢いもあって、権現様のかしらを十万円でネットで買う。壮介が買ったかしらは、権現様の弟と呼ばれるようになる。その権現様の弟で、希望する観客の頭を噛んであげることが、幸運を呼ぶと、ネットで話題になる。
 かなり、珍しい体験のような気がするが、壮介自身は狙いや意欲があってやったことではなさそうだ。そのことを、壮介も自覚している。
 大きな目標があって始めたことではないが、神楽と地元のサッカークラブを応援することは、壮介の生活を変えたのも間違いない。
 頭を噛んであげた娘さんが元気になったように、壮介自身も元気になってきている。