※10/28の記事の一部を変えました。 
 思いもかけない筋の展開に驚かされる。おもしろい。
 おもしろいのだが、筋の運びに入り込めない感じもする。
 一連の出来事を、連載としてはかなり長い間棚上げしておいて、前後関係を忘れたころに、再び語り始めるからだ。こういう運びをされると、意外というよりも、裏をかかれたと感じてしまう。
 また、この先発展するであろうと思わせる要素を見せられたのに、それがそのまま立ち消えになってしまうこともある。例えば、春江の母のこと、徳次が喜久雄と一緒に大阪に来た経緯、俊介と辻村の関係、『太陽のカラヴァッジョ』撮影のこと、などをそう思う。
 人が出合う出来事は、きっちりと収支決算のつかないことがたくさんある。そのことは、この小説からよく伝わる。
 しかし、二代目半二郎と喜久雄の物語が表で進み、その裏で俊介出奔後の出来事がこう進んでいたと語られるのは読者にとってどうなのか。
 これが、連載でなければ、一気に読めるので、違和感はないと思う。だが、次はどうなるかを予測、期待する連載小説特有の読者心理にとって、この運びは疑問だ。
 次回を待つ楽しみは増すが、なんとなく疑心暗鬼に、私はなってしまう。