朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第294回2017/10/29

その一
①春江が自己紹介しようとした。
 二代目半二郎と春江は初対面なのだろう。
②二代目半二郎と俊介が向かったのは、俊介が子どものころからよく連れて行ってもらった料亭だった。
 歌舞伎役者の子であっても、子どものころから連れていかれる料亭というにはそこに何か理由があるのだろう。
③地方(じかた)の芸者を呼んでいる。
 俊介に舞いを舞わせるつもりなのだろう。
④君鶴なる芸者が、涙声になっている。
 俊介の子どものころからを知っている芸者なのだろう。

その二
 幸子が二代目半二郎の後妻だということは、書かれていた。それなのに、俊介は幸子が生んだ子なのかどうかは書かれていない。

その三
 家出していた子が現れて詫びても、すぐに許さないのは、二代目半二郎のような男にとって、むしろ自然なのだという気がしてきた。だとすると、孫を見せられ、俊介を飲みに誘う半二郎の本心はうれしくてたまらないはずだ。
 だが、父と子のこの再会は、幸子にも喜久雄にも伝わらなかった。そして、この後、俊介は再び姿を隠し、半二郎は喜久雄との同時襲名を決意するのだ。