朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第302回2017/11/6

 喜久雄が伝統の芸に加味したものが、早速明らかになった。
 騙したと思っていたこの彰子、喜久雄の救い主になっていた。喜久雄を陰で支えるどころか、今や喜久雄のマネジメントを取り仕切っている。一時期は、敵であったはずの竹野とさえも、彰子は協力し合っているようだ。

 育ての母マツがいなければ、今の喜久雄はないと感じていた。251回感想

 彰子がいなければ、喜久雄が新派で活躍することはなかったし、今回の「Sagi Musume」の実現もなかった。
 一方の俊介とて、春江がいなければ、役者としての成長も危うかったし、復活もなかったであろう。

 女と男の縁は、理屈でははかり知れない不思議なものだと思わせられる。