朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第305回2017/11/9

まさにパリの一夜が「三代目花井半二郎」一色に染まったのでございます。

 喜久雄の美貌、カリスマ、伝統にとらわれないアィデア、そして彰子のマネジメント、それが長い不遇の末に見事に花開いた。



 でも、‥‥ なぜ、東京でなくパリなのだろう。喜久雄が、新派が、ここから世界各国の舞台で喝采を浴びるとは思えないのだが。