朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第313回2017/11/18

その一
 徳次がやろうとしている解決の手段として思いつくことは、次の三つ。
①金銭
②裏の人脈
③徳次の命

 私に思いつくのは、これだけだが、さて‥‥


その二
 312回で徳次が言っていた「鷺娘(さぎむすめ)やないか……」の意図は、本文中にあった。

 冒頭は女の恋の恨みを表現したあと、衣装を引き抜いて町娘。冒頭とはがらりと雰囲気を変えまして若い娘の恋心を踊り、その後ふたたび雰囲気を変える後半では、白地に鷺の羽を縫い取った振り袖姿で、地獄の責め苦を表現しながら、次第に弱り息絶えていく、まるで錦絵のような舞踊でございます。(301回)

 綾乃の派手な化粧の顔の下に、幼いころの顔を思い浮かべ、その変わりぶりを、鷺娘に重ね合わせているのであろう。