朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第315回2017/11/20

 私は、現代の小説をこのブログを書くようになってから読み始めた。吉田修一という作家については、名前も聞いたことがなかった。今回を読んで、俄然、吉田修一に興味が湧いてきた。

 徳次、喜久雄、春江、マツ、俊介、市駒、それに、二代目半二郎と幸子、この人物たちのことを、昭和に生きた人間として、現実に照らし合わせて書いているのであろうか。
 こんな生き方をする人物たちは、現実の昭和にはいなかった。
 この人物たちのような思いを心の底に秘めている人は、現実の昭和にいた。
 この二つが、私の中で交錯している。

 少なくとも、次のことは読み取れる。
 吉田修一は、ストーリーのために昭和の絵空事として徳次を描いてはいない。