朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第333回2017/12/8

 私にとっても、グッと近い時代の話になってきた。私みたいなサラリーマンであっても、給料は毎年上がるものだったし、わずかでも銀行に預けておけば、3年ほどで預金が増えたと実感できる時代だった。
 徳次やマツへの喜久雄の金の使い方は、バブルの頃なら当たり前だった。

 喜久雄と綾乃の二人きりの旅行、何が起こるのだろう?
 喜久雄と綾乃の二人きりは、ある意味仕方がないのだろう。彰子が一緒に行くわけにはいかないし、彰子抜きに市駒が行くのは、またスキャンダルになる。かといって、春江が同行するのは、もっとややこしいことになりそうだ。
 マツと綾乃が会えば、祖母と孫ということになるのだろうが、これも平凡な祖母と孫とはいえない。