朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・内巻敦子画『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第42回2017/11/10 第8話 また夜が明けるまで③

あらすじ
 文子は、迎えに来たゆみちゃんと一緒に帰らなくてもよくなって、一気にモルゲン土佐のことを考え始める。車のドアに手をかけながら、文子は、タクシー乗り場に一人で立っている女の人、忍を発見した。文子は、その女の人に、「あの、どうされましたか?」と声をかけた。
 その女の人は、空港の中でもたもたしているうちに、バスが出てしまい、タクシーも来るまでに時間がかかると、事情を話した。
 文子は、その人に、「もしよろしければ、お送りしましょうか?」と言う。女の人は、「いいんですか?」と言った。
 走り出した車の中で、文子は、広瀬文子という名で、中学校の教師をしていると忍に言う。
 忍は、東京から来たことと、ヴェーレ浜松の試合を観に来たことを話す。忍は、文子、広瀬先生がサッカーに詳しいことに気づく。そして、自分がスタジアムに観に来ると、いつも浜松が負けると話す。広瀬先生は、その話に笑いながらも、「わからなくはないです。」と言った。

感想
 偶然に出会ったこの二人、単なるサッカーファンというだけでないようだ。
 忍は、自分がスタジアムに行くと、浜松が負けると思い込んでいるのに、スタジアムに来ずにはいられなかった。文子は、土佐の降格が心配でたまらない。心配だけでなく、土佐の不振は、自分の応援が足りなかったからか、とまで悩んでいる。
 応援も、熱中すると、こんな心配や自分の責任まで感じるようになるのか、と改めて思う。