朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・内巻敦子画『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第43回2017/11/17第8話 また夜が明けるまで④

あらすじ
 広瀬先生は、忍に、「明日、高知を少し案内します」と言う。忍は、この言葉に甘えることにする。ホテルのそばで車から降りた忍は、カーサインから、広瀬先生がモルゲン土佐のサポーターであることを知り、それを広瀬先生に確かめる。忍と広瀬先生は、対戦するチームのサポーター同士だったことが分かる。
 次の日、広瀬先生は、約束通りに忍を迎えに来る。忍は、広瀬先生の話を聞きながら、ヴェーレ浜松が一部から二部に降格した試合をテレビで観た時のことを思い出す。そして、忍が広瀬先生の立場なら、対戦相手のサポーターを、親切に観光案内に誘う気にはなれないだろう、と思う。
 坂本龍馬像を見たりして、忍はすっかり観光気分を味わう。忍は、広瀬先生にいつからモルゲン土佐を応援しているか、尋ねる。広瀬先生は、「六年前からです」と答える。その頃は、モルゲン土佐は、運動量が多くて、攻撃的で、いいチームだったことを、忍もよく覚えていた。

感想
 応援するチームなのだが、そのチームが勝てる要素を見つけづらい。だが、勝ってほしい。試合が始まるまで、結果が出るまで、悪いことばかりが頭に浮かぶ。広瀬先生は、そういう気分を紛らわすためにも忍に、観光案内を申し出たのだろう。
 そして、それはヴェーレ浜松を応援する忍の気持ちとも重なると思う。