朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第350回2017/12/25

 花やかに見えるのは、日の当たる所だけと言うが、役者という仕事はその通りだと感じる。一人のスターの陰に、報われることの少ない多くの裏方がいる。また、そのスターも観客の前に立つ時が輝くのであって、そのためにどれだけ自分の時間や家族との時間を犠牲にしているかわかったものではない。

 源さんに対する俊介の気持ちは分かるが、無理をしていないか。襲名にとらわれて、源吉の立場や自分の体のことを後回しにすると、父、白虎と同じような道を辿るのではないか。