朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第368回2018/1/14

 俊介と喜久雄の周囲で、良いことばかりが続いている。
 
俊介の親子二代の同時襲名の準備は着々と進んでいる。しかも、一豊の学校の方も希望が叶った。 
 喜久雄は、歌舞伎映像大全集のための大舞台を勤めている。喜久雄にとって、心配の種だった綾乃が希望通りの就職をした。喜久雄と昔なじみだった荒風と、うれしい電話でのやり取りもあった。

 このままめでたしめでたしが続くわけがない。

 松野という男、おとなしくしているだろうか?俊介の体の変調、足の冷えは深刻なことにつながらないのか?
 伊藤京之助、矢口建設の若社長の夫人、銀座のホステスで本職はピアノ教師の女、新しい登場人物は、喜久雄にどう関わるのか?
 竹野が相変わらず、顔を出すのも気になる。また、彰子は、喜久雄が彰子の父、吾妻千五郎のおかげで舞台に立てるようになったのだから、存在感をますます増すはずなのに、さっぱり登場しない。