朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第377回2018/1/23

 「陽気な婆さん」と周囲の人に思われて、死んでいった万菊は、潔(いさぎよ)い。


 舞台に立てなくなって、歌舞伎界と縁を切ったのだろう。現役でなくなっても、万菊ほどの稀代の名優なら、大御所として尊敬され、歌舞伎界では大切にされ続けたに違いない。
 万菊は、そういう生き方を自ら捨て去り、孤独で気ままに最期を生きたのだと思う。