朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第380回2018/1/26(略)

(略)誰もが喜久雄のような演技をできるはずもなく、となれば、喜久雄のほうで演技を抑えるしか一つ舞台で一つ世界を作るのは難しく、この喜久雄の苛立ちは誰の目にも明らかなのでございます。

 喜久雄の芸は、ここまで高まっていたのだ。ここで、自分の演技を抑えるというのは、なんとも難しいことだろうと思う。でも、それも名優の一つの条件なのだろう。それと、同時に共演者や後輩役者を指導する力も求められると思う。

 春江が登場すれば、襲名後の俊介のことも明らかになるか。