朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第382回2018/1/28

 喜久雄に向かって、「あんたに、捨てられたんや!」と叫んでいた綾乃だった。若い頃の喜久雄なら綾乃に今回のように頼まれたら、喜んだに違いない。だが、今の喜久雄はそんな風に受け取るだろうか。
 「三代目花井半二郎の娘」ということを、喜久雄自身がどう考えるか、予想もつかない発想が出て来るのではないか。
 明日の回も、驚かされそうだ。