朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第403回2018/2/19


「(略)さすがにもう元通りにはならへんで」

 この事実を受け容れて、しかも捨て鉢にならないことが重要なのだ。この境地にたどり着いている俊介だからこそ、今の彼にできる役が見つかる可能性があると思う。俊介自身も家族も、俊介に残された時間が長くはないことを、感じ取りながら俊介の願いを叶えたいと必死に願っている様子が伝わって来る。