朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第489回2018/5/18

 五十年ものあいだ、秘されてきたこの真実が、おそらく今の喜久雄を作り上げたのでございましょう。しかし今その真実を知らされた喜久雄の目に映るのは、なぜか笑いかけてくる徳次の顔なのでございます。(479回)
 
 この後に、父の死の真相から父の死の幻想の世界へと、喜久雄は入ってしまう。
 徳次は、喜久雄にとって真実と幻想、正気と狂気をつなぐ人物なのか?
 徳次は戻ってきているのか?
 だれかが、どうしても綾乃に今日の舞台を観せたかったのは間違いないと思うのだが‥‥。