新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第15・16回2018/6/16・17 朝日新聞

 両親の離婚、父がいなくなることの影響を、幼い子がどう受け止めるかが、列車の座席のことに表れている。
 幼い子だけでなく、大人になっていても、家族の変化を実際はどのように感じるかは、こういうところに出るものだ。

 母が子どものことを思って、無理をして行った万博は、よい思い出とは逆の結果になった。
 万博での洋一郎の思い出は、自分にとってはよい父であった父の記憶を強めているようだ。迷子になった洋一郎に残された思いは、父の姿を見つけてその後を追ったのに父の背中は遠ざかる一方だった、ということに帰結すると思う。