新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第17回2018/6/18 朝日新聞

 次回あたりからこの小説が本格的にはじまると感じさせる。

 洋一郎が、小学校二年生のときに父と別れて、今五十五歳になっているのだから、四十七、八年ぶりの再会なのだろう。
 姉が父と再会したというのなら、そのときの雰囲気は予想しやすい。姉の場合なら、だいたい再会を拒否しそうだ。
 洋一郎の場合は、どうなるか、予想が難しい。
 どんな経緯であれ、この父が残された家族三人を気遣っていた様子はない。そうではあるが、洋一郎がもつ父についての思い出は、父を慕うものだ。
 では、洋一郎は父との再会を喜ぶか。そうはならないと考える方が順当だ。再会した父がどんな意図をもっていようと、父の年齢と離婚の原因と、父がいなくなった後の家族の生活を思うと、再会は、相当に厄介なものになると感じる。

 
 ここまで、連載を読んで疑問に思うことがある。
①「一章」でなく、「序章」なのはなぜか?
②姉も母も名前が出て来ないのは、なぜか?※父は信也という名だった。
 疑問と同時に、連載にしてはずいぶんとゆっくりとした感じの展開だと感じる。そして、小説の現在が、現実とぴったりと一致しているのが不思議な気がする。