新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第18回2018/6/19 朝日新聞

 この小説の第一章が、いよいよはじまった。
 第一章冒頭から、「私」の性格がわかる。
 この主人公は、平凡な勤め人で、社会に順応していて、目立つような個性の持ち主などではないと思う。だが、若いころの気持ちを持ち続け、学生時代と変わらぬ友達付き合いができる精神の持ち主と思う。
 子どもを亡くした佐山の気持ちに共感し、その佐山の活動に六年間協力している。静かに、振り返っているが、それだけの年月協力し続けるということは、金銭的にも相当の額を負担しているであろう。
 小説上の時間は、現実と一致しているので、「私」の年齢は五十五歳だ。
 読者である私よりも十五歳若い。現在を生きる五十代の「私」の感覚や考えを、これから知ることができると思うと、楽しみだ。こういう酒の飲み方、こういう語り口だけに、ますます親しみを覚える。