新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第28・29回2018/6/29・30 朝日新聞

 洋一郎の父親としての気持ちがうまく描かれている。
 私も、妻と子どもが楽し気に話している中にはなんとも入りづらい。私の周囲の父親たちも似たような感情をもっていると話す。退職後は、この傾向がますます強まる。なぜだろう?
 主人公が早くに自分の父と離別していることがその要因かとも思ったが、そうとばかりも言えない。
 子育てには、父親と母親の役割分担が大切だとよく言われていた。昨今は、役割分担などではなく、子育てにかかわるすべてのことを、母親と父親のどちらもできることが求められている。
 でも、洋一郎や私の場合は、子育てを妻に任せていた。その結果が、一家団欒からの疎外感につながるのだろうか?