新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第32回2018/7/3 朝日新聞

 同じ大学を卒業して、互いの結婚式に招き招かれた間柄でも、職種が違うとだんだん疎遠になる。佐山と紺野と洋一郎もそうだったのであろう。その三人が退職が近づいた年齢になって、顔を合わせるのは、「よしお基金」のせいだといえる。
 三人は、職種は違うが、それぞれの職業で一定の成果をあげていて、現在も将来も生活の設計はあるようにみえる。
 紺野の両親の事情について描かれていた。佐山の両親の事情は描かれていないし、洋一郎についても別れた父のことしか描かれていない。三人の年齢からみて、それぞれの親は七十歳を超えて、高齢者の抱える課題が、浮かび上がってくるころだ。

 この三人が「新人類」なら、私は、それをからかった先輩社員の年頃だ。私にも、「近頃の連中は‥‥」と言った覚えがある。だが、今となっては、その後の若い世代に比べるなら、「新人類」はごくわかりやすい世代だった。