新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第33回2018/7/4 朝日新聞

 高齢者向け施設が普及する速さには驚く。私の世代は、自家用車とパソコンの普及のスピードを経験した。しかし、高齢者の増加とそれに対応しようとする制度の変化は、前の二つを上回る。

 主人公の洋一郎が高齢者向け施設に関わっているとなると、いろいろな展開が予想される。
①離別していた父が、洋一郎の施設に入所してきたので、それが父子の再会となった。
②佐山夫妻の相談は、ゆくゆくは洋一郎が施設長をやっている施設に入ることを考えているというものだった。
 こんな短絡的なものではないかもしれない。だが、こういう予想をしたくなるほど、紺野のような親子にとって、また、佐山夫妻のような境遇の夫婦とって、高齢になったときの生活の場と終の棲家を得ることは、切実なことなのだ。小説の中だけでなく、現実の中では。