新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第34回2018/7/5 朝日新聞

 夏子は、孫のためにベビーバスやベビーベッドを準備した。こういうことが洋一郎にはできないのだろう。
 私もそうだ。ベビーベッドが最近はレンタルであるというのを知っていたが、具体的にどんな業者に依頼すればいいのか、また、何種類かあるベッドからどれを選べばいいかが分からない。要するに、具体的な育児の知識も経験もないのだ。
 当たり前のことながら経験のあるなしは、違いがはっきりと出るとつくづく思い知らされる。
 今の世の中は、夫の稼ぎだけで家族を養うという図式が当てはまらなくなった。そうなると、育児や家事について夫も分担しなければならない。それができていなくて、育児と家事の知識と経験のない男性は、「おじいちゃん」「お父さん」としての自信を持てなくなる。これは、当然の成り行きと思う。