新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第43回2018/7/15 朝日新聞

 「サ高住」のことが、はじめて明確にわかった。言葉は知っているし、興味はあるが、具体的にそこに住んでいる人を知らないと、理解はおおざっぱなものになる。同様に、有料老人ホーム、グループホーム、特養、老健などの違いについても、自分のこととして考えなければならない年齢なのに、まだまだ理解は浅い。
 ネットで検索すると、さまざまなサイトで丁寧に解説されている。しかし、ネットや、書籍や、見学説明会で実態をつかめるかというと、はなはだ疑問だ。
 私の場合は、親が施設に入所してみてはじめて実態の一部を知ることができたと思う。
 その結果として、老健もグループホームもその施設の目的や運用の指針と実態とは別物だと感じた。
 最近は、ひとつの企業が、いくつかの高齢者施設を経営していることが多い。そうすると、老健とグループホームと高齢者の入院の多い病院が隣接して同一企業の経営になっていたりする。そうなると、入所者は条件が変わると、隣接の施設に移る場合が多いようだ。また、それぞれの施設には、オプションのように訪問医療が有料で行われることがある。
 そうなると、それぞれの施設の境目が重なり合ってくる。
 実態は、説明通りにはいかないと感じる。