新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第44回2018/7/17 朝日新聞

 私は、幼稚園に行かなかった。私が住んでいた地方では、保育園や幼稚園がまだ一般的でなかった。現代は、幼児が保育園や幼稚園に入るのは当たり前だ。むしろ、入れないことが社会問題となっている。そして、昨今は、老人が専用の制度と施設を何らかの形で利用するのは当たり前になりつつある。
 幼稚園の施設設備が進歩し、個性化もしていると聞く。通園バスのデコレーションを見ても驚かなくなった。裸足で外遊びができることを売りにする園もあると聞く。
 同様に、老人ホームなどには、老人施設なりの特殊性があることがわかる。
 通勤、通学客で満員のバスと同じような路線を、介護施設の送迎車も頻繁に行き来しているのがこの頃の町の風景だ。