新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第46回2018/7/18 朝日新聞

 洋一郎がやっているいろいろな工夫は、入居者の気持ちに響くものだと思う。
 建物本体と施設設備が完備していることが、老人ホームの価値を決定するものではないだろう。老人ホームにしても、介護施設にしても、最終的にはそこのサービスの質が重要だと思う。そして、そのサービスの質を決定づけるのは、職員、スタッフの意欲次第だ。
 洋一郎のような意欲を持った施設長のいる所は、入居者にとって、よい終の棲家となると感じる。
 だが、老人ホーム、介護施設も企業が経営している組織だ。企業の経営者は、洋一郎の入居者の日常に配慮した運営よりも、コストのかからない運営を求めるのではないか。