新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第47回2018/7/19 朝日新聞

 佐山夫妻が一人息子を亡くした心情については、無神経にはなれない。しかし、友人である洋一郎が子どものことを話題にすることに、いちいち気を遣うのは無理からぬことではあるが、共感はできない。気にされる佐山本人の方もかえって辛いのではないか。

 洋一郎が、ふたつのこいのぼりの思い出を振り払ったのはなぜか?出て行った父が飾ってくれたこいのぼりの思い出は、洋一郎にとって大切なものだったような気がするのだが‥‥