新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第51回2018/7/23 朝日新聞

 深い無念と、やりきれない思いが──。

 仁美さんが、心の底で芳雄くんの級友たちを恨んでいたのか、と思っていた。でも、そうではなかった。佐山夫婦は、息子の死を受け容れようと努力していたことがわかる。それが、「よしお基金」に結びついたのだった。
 芳雄くんの死を受け容れても、芳雄くんを救う行動をとれなかったその時の級友たちをゆるしていても、忘れることはできない思いがあったのだ。

 佐山の心情を突き付けられた思いだ。だが、それが五十代にして老人ホームに入りたいということに直接結びつくのだろうか?